「情報圧」とは、圧倒的な情報量によって
視聴者にかけられる圧力のこと。
一回では分析不可能なほどの情報を
見る側に降り注ぐ。
だから、これを解析しようと映画館に複数回通ったり、
DVDで何度も繰り返し見たり、
SNSで情報交換したりすることになる。
ただし、情報圧を高めるという手法だけでは
視聴率獲得の決め手とはならない。
これに加えられたのは「テンポ」なのだ。
とにかく、ものすごくテンポが両作品とも速い。
つまり短いスパンでシーンが次々と変わり、
どんどん加速していく。
ただし、ただ速いだけじゃない。
じっくり見せたいところはいきなり遅くして、
それまで速いテンポで提供されていた情報をまとめ上げてしまう。
たとえば「半沢直樹」の場合なら
麻生支店長や大和田常務を落とすシーン。
「あまちゃん」の場合は、
鈴鹿ひろ美が海女カフェで「潮騒のメモリー」を歌うシーン。
そして、この長いシーンには、
これまで短いスパンでばらまいた情報が
何らかのかたちでびっしりと「再現=回収」がされる。
半沢の麻生や大和田に対する思い、
潮騒のメモリーにまつわる、それぞれの人間ドラマ。
視聴者としては、そのことを整理できなくても、
それまで無意識に溜め込んだ情報が一気に絞り出されるので
ここで理由はわからなくとも
なぜか感動するという仕掛けになっているのです。
この手法を、ぜひ参考にしましょう。(^_^)/
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■加筆・補足
「情報圧」と「テンポの切り替え」
という事で、
カメラワークの進化を今日は語ろうと思います。
ハリウッドには古典的なカメラワークがあり、
それを踏まえて脚本は書かれます。
しかし、その伝統に事件が!
そう9.11ツインタワー・テロ事件です。
この事件の報道で人々は
現場をドキュメンタリーのように観る『手取りカメラ』
現場を調べる『監視カメラ』
現場をナビする『衛星カメラ』
の3つのカメラワークを知ります。
その結果、
iPhoneやアンドロイドで
日常を発信する『手取りカメラ』
他人の行動を気にする『監視カメラ』
車での移動や待ち合わせのための『衛星カメラ』
という表現が
映画でも使われるようになります。
これは小説を書くのにも応用ができて
一人称の自分語り『手取りカメラ』文章
他人の視点から主人公たちを覗く『監視カメラ』文章
衛星=神の視点による『衛星カメラ』文章
がライトノベルでも
使われるようになります。
カメラワークにしても文章にしても
『時代』の影響を受けます。
その時代の生き証人な訳ですから
皆さんも時代の流れに逆らわず
その時代ならではの表現に仕上げてください。
それでは、また。(^_^)/
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