名作『ひとつ屋根の下』。
最後の見せ場として、
妹の小梅がレイプされます。
なぜ脚本家先生は
こんな酷い仕打ちを書いたのでしょう?
それは柏木家があまりにも
素晴らし過ぎるからです。
お客としては
こんな理想的な一家は無いのです。
現実の一般家庭は
もっと揉め事が解決されなくて
寂しいものです。
そのお客さんの苦労をくんで、
理想だけを表現しないで
辛い現実も乗り越えさせますよ、
というのが
あのレイプ事件なのです。
ちい兄ちゃんの恋人の
日吉 利奈は心臓病で死んでしまいます。
この兄二人による
『痛みの克服』が違うのです。
片方はレイプを、
もう一方は死を乗り越えなくてはいけません。
ちい兄ちゃんは医者です。
当然ですが医者は完璧ではありません。
だから医者としての痛みが
患者を死なせてしまうのです。
兄ちゃんの方は
小梅の『嬉しい』誕生日に
『悲しい』レイプ事件が起こる
という、逆による皮肉が仕込んであります。
なぜか?
辛い事や悲しい事でも
この一家は祝福していこうとするからです。
だから兄ちゃんは
妹に『頑張るお手本』と『痛みの共有』のため
禁止していたマラソンを走り、
ダメになりながらもゴールするのです。
小梅がダメになっても
再生して祝福されるように。
この創作法で自分が言いたいことは
ただ哀れみを誘うだけに
レイプを表現しないでくれ
という事です。
だってそれだけ悲しみや痛みを表現したら
作者は『責任』を取って
『答え』を出さないといけないのですから。
ある脚本家は『悪のり』で登場人物を不倫させ
ただ哀れみを誘う表現をして
最後の『オチを全然ダメ』にしました。
大事なことですから
憶えてください。
シナリオライターは
頭の良さが作品にすべて出ます。
そこで褒められるもけなされるのも
作者の賢さ次第です。
恥をかきたくなければ
古典や基本通りに作りなさい。
なぜなら作品は残り続けて
ずっと陰口と悪口を言われ続けるのですから。
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■加筆・補足
今日は心構えの説教ではなく、
実践的な理論です。
面白いストーリーを作るために使える
ギミックのまとめには、
・読者を読み進めるように駆り立てる「枷(かせ)」
・不測の展開を生み出す「ひねり」
・読者の望む展開を生み出してくれる「落差」
・人間の闘争本能に訴えかける「対立」
・読者をヒーロー/ヒロインに変える「賞賛」
というものがあるというお話です。
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1:ハードルが「枷(かせ)」
例えば、何時までに爆弾を処理しなければ
人質が全員死んでしまうとか、
持ち物なしで無人島に漂着してしまった
といった感じですね。
そして、『疑問の解答』を見たいがために読者は、
楽しんで読み進めることができるでしょう。
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2:不測の展開が「ひねり」
ここでいう「ひねり」というのは、
読者の予想を良い意味で裏切る展開のことだ
とおもってみてください。
ひねりを作りたければ
『不確定要素』を用意しておくのが、
おすすめです。
例えば、物語の中に
「期末テスト」という要素を入れておいて
「期末テスト」の結果しだいで
思い人に告白するかどうか決める
といった展開ですね。
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3:現実と理想の間にある「落差」
結論から言えば、
表面上矛盾しているように見える『勘違い』を作ればOKです。
例としては
「友人の悲鳴を聞いたという事実と
「友達がめっちゃ喜んでいた」との事実、
この二つを
「悲鳴ではなく喜びの叫びだった」という真実
による勘違いのような組み合わせで表現できます。
人間が落差に魅力を感じるのは
「認知的不協和」という人間本来の考え方が
背景にあるのだそうです。
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4:目標やライバルが「対立」
『ライバル』がいれば
俄然やる気が出るということもあるでしょう。
人というのは人類史の中でも自分史の中でも、
数々の争いや対立、葛藤の中に身をおいて生きています。
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5:声援が「賞賛」
よく主人公が秘密の力や
現代のテクノロジーで敵を倒したりするときに、
周囲が誉めちぎってくれる場面ってありませんか?
実は、あれもストーリーにおけるトリックの一種で、
『承認欲求』をくすぐるものになっています。
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いかがでしょうか?
正直言うとだんだんこのブログも書くことが
限界にきています。
だから他人のやり方や理論を盗んで教えています。
まあ、『無料』だから皆さん許してくださいよ。(^_^;
それでも何とか更新する方法は
編み出しましたけどね。
それは読んだ本による『創作に応用できる考察』を書くと
本はたくさんあるからネタに困らないのです。
まあ読書は大変ですけどね。
それでは、また。(^_^)/
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